扁平足の治し方

扁平足が「土踏まずの高さが低く、平らな足」であることは概ね理解されているでしょう。

疲れやすいなど「身体の様々な不調の原因」であること、また、外反母趾足底筋膜炎など、足に起こる様々なトラブルの原因であることも概ねご理解のことと思います。(扁平足に関連する記事一覧

となると、「扁平足を治したい。」「治し方を知りたい。」という事になりますよね。

今回は「扁平足の治し方」です。果たして、その扁平足は治るのか…

かなりの長文ですが、飛ばし読みせず最後までしっかり読んでください。 

扁平足の多くは後天性

土踏まずが平になる扁平足は体調の様々な不調の原因に…
土踏まずが平になる扁平足は体調の様々な不調の原因に…

一般に、土踏まずの高さが低い足のことを「扁平足」と呼びます。

そして、扁平足は大きく分けて、先天性のものと、後天性のものに分けられます。

先天性と後天性の見分け方

自身の扁平足は先天性のものなのか、後天性なのか…。

先ずは簡易に判別してみましょう。

椅子に座り、足首を伸ばしてスネとつま先を一直線にし、足指を反らせます。または、つま先立ちでも構いません。

この時、足裏に土踏まずらしき形が現れるようなら、後天性の扁平足です。(簡易な判別方法なので確実なものではありません。)

先天性扁平足

一般にほぼ全ての乳幼児、3歳未満は殆どが扁平足(幼児期扁平足)です。

発育と共に3~4歳頃に土踏まずが現れはじめ、10歳頃には形成されます。

ただ、生まれながらに足の骨格に問題がある、あるいは筋肉の発達が十分でない、などが原因で生じた扁平足は、成長しても治らないという特徴があります。

特に、足の骨格が原因(先天性垂直距骨、または足根骨癒合症の疾患)の場合は、自然に治ることはありません。手術など外科的治療が必要となります。

ただ、先天性の扁平足は痛みなどを伴うことは稀です。

疲れや痛みが無いなら、それほど心配する必要はないかもしれません。

後天性扁平足(成人期扁平足)

先天性の性質を持つ場合以外は、後天性の扁平足と言えます。

一般的な扁平足は、筋腱の低下や過体重などが原因で、足の骨格配列が崩れています。これを静力学性扁平足と言い、成人期扁平足のおよそ9割を占めます。

残る1割のうち、先天性によるのもの以外は、その原因から外傷性(怪我、靭帯の損傷)、炎症性(関節リウマチなど)、麻痺性(脳卒中などによる筋力低下)に分類されます。

これらの扁平足は、その原因の治療をしない限り扁平足が治ることはありません。仮に原因が完治しても、殆どの場合は扁平足はそのままです。

 

努力すれば扁平足は治る!かも…

結論から先に言います。

身体の成長が止まる青年期以降では、扁平足が治る、著しい改善は望めません。

ただ、一定の改善を見込める可能性は十分にあります。

少なくとも、扁平足は自然に改善する事はありません。放置していては悪化の一途です。

現状の維持~僅かでも改善できれば良し!なのではないでしょうか。

扁平足なのか否かを確認する

先ずは扁平足なのかどうかを確認する必要があります。

疑わしい人は「扁平足をセルフチェック‼」を参照し、医学的な判定基準で「扁平足か否か」を確認してみましょう。

そして扁平足の種類、改善方法について、以下の方法で判定します。

後ろから踵を撮る

何が問題の扁平足なのかを調べるため、踵を後ろから観察します。

自身の踵を後ろから見ることは出来ませんよね。
誰かに手伝ってもらい、片足ごとに画像を撮ると良いでしょう。

 

1. 足を開いて真っすぐに立ちます。

扁平足か否かを調べるためには、両足を平行にして立つことが重要。
肩幅よりやや狭め。握りこぶし3ツ分位に開き、両足は平行にして立ちます。

左右の足は肩幅より少し狭い目、こぶし3つ位の間隔を開けて立ちます。

左右の足が平行になるように。(つま先がやや内向きに感じるかもしれませんね。)

以降、足元を気にし過ぎて下を向かないように注意。

 

2. 踵の真後ろから画像を撮る。

踵の外反・内反のイメージ
いずれも右足、中央が正常な踵。左が外反、右が内反している状態。両端程になると身体に様々なトラブルが発生する。(中央は親指の付け根が見えていますが、撮る角度次第で、小指が少し見えていても可。)

ふくらはぎに対し、踵はどのような状態でしょうか。上画像のどれに似ていますか?
そして、外くるぶしの向う側には、何指が見えていますか?

仮に、画像左から外反2・外反1・正常・内反1・内反2と呼ぶことにします。

 

3. つま先立ちの踵を撮る。

つま先立ちをした時、踵の捻じれで扁平足か否かを判別します。
つま先立ちをした時、踵の捻じれ方で扁平足か否かを判別します。

踵は真っすぐそのまま持ち上がっていますか?(中央)
それとも、内向きに捻るように閉じる感じ?(左側:足の裏が内側を向く)
逆に外向きに開いていますか?(右側:足の裏が外側を向く)

 

扁平足のタイプを判定

以上、2ツの画像と3ツの判定基準をもとに、どんな扁平足なのかを分別します。

そして、ぞれぞれの扁平足は「治るの?」「対処方法は?」について記して行きます。

 

正常、または先天性の扁平足と思われる足
  • 踵の傾きは外反1・正常・内反2の範囲内
  • つま先立ちでは左側、または中央に近い感じ。

この結果の場合、扁平足ではない可能性が大いにあります。あるいは、先天性の扁平足の可能性もあります。

自身の土踏まずの高さを「扁平足をセルフチェック‼」に記載の方法で判定してみましょう。

もしも扁平足であったなら、それは先天性の扁平足と思われます。

骨の配列に問題があるはずですから、手術以外に改善する方法はありません。(扁平足が直接的な原因でのトラブルも無いかと思われます。)

 

単純な扁平足
  • 踵の傾きは外反1・正常の範囲内
  • つま先立ちでは、踵が内向きに捻じれる(画像左)
  • 外くるぶしの向う側には薬指と小指、または小指だけが見える

上記に該当する場合は、単純な扁平足の可能性大。

足裏の筋肉(足底筋腱膜)が緩んでいる、または、思春期までに足裏の筋肉が十分に発育しなかった可能性もあります。

ハイヒールを常用する人、立ち仕事に従事されている人にも多く見られる傾向があります。

足裏の筋腱を鍛えると、改善する可能性はあります。

外反扁平足
  • 踵の傾きは外反1から外反2
  • つま先立ちで踵が外向きに開く(画像右)
  • 外くるぶしの向う側に人指し指、または薬指が見える

上記の2ツ以上該当する場合は、「外反扁平足(がいはんへんぺいそく)」と言う扁平足。猫背や反り腰なとのの悪い姿勢、外反母趾、体重が過多な人、中高年世代に多く見られます。

ひどくなると片足立ちが数秒しか出来なくなります。

足裏の筋肉(足底筋腱膜)が緩んでいるだけでなく、内くるぶしの後ろを通り、土踏まずを引き上げる働きを持つ「後脛骨筋腱(こうけいこつきんけん)」が弱くなっている、または伸びてしまっています。

また、外くるぶしの後ろを通る長腓骨筋腱(ちょうひこつきんけん)が過度に緊張しているでしょう。

長腓骨筋腱の緊張が扁平足の主な原因である場合は「腓骨筋腱痙直型扁平足」とも呼びます。必ずと言っていい位、開張足を併発します。

足裏の筋腱と後脛骨筋腱を鍛える、緊張している長腓骨筋腱を緩める。

これらを続けると、扁平足が改善する可能性はあります。

踵の外反が左端(外反2)に近い、または、外くるぶしの向うに人差し指が見えている状態なら、自身で何らかを鍛える程度で外反扁平足が改善する見込みはほとんどありません。インソールで正常な骨格配列に近づけてやる必要があります。

 

扁平足を改善するエクササイズ

単純な扁平足であれ、外反扁平足であれ、扁平足の改善には、以下のようなエクササイズが有効です。

実際の動作については、ネットで調べて自身に合いそうなものを取り入れてください。

いずれもやり過ぎ禁物。行ってはいけないなど、注意点もあります。

土踏まずを鍛える

いずれの扁平足であれ、土踏まずの筋肉を鍛えることは、扁平足改善の基本です。

代表的な鍛え方としては「タオルギャザー運動」、「足指グーパー運動」、「カーフレイズつま先立ち運動)」などが挙げられます。

これらの運動を、少しずつ強度や回数を上げながら続けるうちに、ある程度土踏まずの筋腱を鍛えることができ、扁平足の改善が期待できます。ただ、土踏まずの筋腱は強靭ですがとても小さな筋肉。相当に鍛えたとしても、それだけで劇的な効果が見込める訳でもありません。

逆に、やり過ぎてしまうと土踏まずの筋腱(足底筋膜)を痛めてしまう、足底筋膜炎という別の疾患を患う可能性が高いので要注意。

土踏まずにピリッと痛みを感じたら…やり過ぎです。

後脛骨筋腱を鍛える

歩行時に土踏まずを持ち上げる役割を持つ後脛骨筋腱。

後脛骨筋はふくらはぎの奥深くにある筋肉。この筋腱が緩んだ状態を改善するには、椅子に座り、つま先立ちのように足首を伸ばしながら内側へ捻る…。と文字で書いても伝わらないので、やはり「後脛骨筋腱 鍛える」とネットで検索!

ゴムバンドなどを用いて負荷をかけて行うことが理想ですが、むしろ道具は使わず、日常生活の中の僅かな時間を利用して頻繁に繰り返すのもとても有効です。

但し、もしも内くるぶしの後ろあたりに痛みを感じているなら、このエクササイズは行わないこと。

その症状は後脛骨筋腱炎と言う疾患です。

後脛骨筋腱は内くるぶしの後ろを回り込んでいます。このため、摩耗や小さな断裂が起きやすく、後脛骨筋腱、または後脛骨筋腱の周りを保護している被膜が炎症している可能性があります。

後脛骨筋腱は血流が乏しい部位であるため、回復には相当な時間を要します。早目に整形外科を受診しましょう。

長腓骨筋腱を緩める

長腓骨筋は足関節の底屈(つま先を伸ばす、足首の曲げ伸ばし)をするための筋肉。

外くるぶしの後ろから足裏を通って小指の根本あたりに腱が繋がっていて、足首と踵を安定させる役割をもっています。

この筋腱が強い、緊張している状態が、踵をねじる(外反させる)ことに繋がります。

つま先立ちをした時の踵が外向きに捻じれる(画像右)場合、他の筋腱群と比べて長腓骨筋腱が強い、または緊張している可能性があります。

まっすぐに持ち上がっていた(画像中央)としても、長腓骨筋腱を緩めてやるだけで、すぐにも踵の外反、外反扁平足に改善が見られることも多々あります。

長腓骨筋腱を緩めるのは、ストレッチよりマッサージの方が効果的です。

外くるぶしの10~15cm位上にある、ぐりぐりとした筋を揉み解してやるだけ。身体の温まったお風呂上りにすると効果大。

 

無理は禁物

気長に、熱心にエクササイズを続ければ、扁平足は多少なりとも改善できます。少なくとも、加齢と共に確実に進行する扁平足を現状に留めることはできるでしょう。

ただ、土踏まずを鍛えようと、過度につま先立ちなどの運動を繰り返す。あるいは、内くるぶしの後ろあたりに痛みを感じながらも、外反扁平足を改善しようと後脛骨筋腱を鍛える。

これらの行為は、別のトラブルや疾患を抱えてしまう可能性が高いことを理解し、決して無理をしないようにしてください。

扁平足は、様々な靭帯と腱の緩みから足の骨格配列が崩れてしまった結果です。

筋肉とは違って、伸びてしまった、弱ってしまった靭帯や腱を鍛えることはできません。

努力を重ねても扁平足が治ることは無い、著しい改善は望めない理由です。

 

扁平足のトラブルにはインソールが効果的

扁平足は様々な足のトラブルや身体の不調を引き起こします。

だからと言って、自身であれこれ努力を続けても扁平足が治る、大きく改善する見込みは期待薄。

であれば、足裏の崩れてしまった骨格構造を、インソールで正常な形に近づけてやる方が合理的。しかも効果はすぐに表れます。

市販の既製品インソールでも多少の効果は得られるかも知れません。ただ、「扁平足を治す」ほどの効果を求めるなら、ひとり一人の足に合わせた、身体の不調や足のトラブルに応じたオーダーメイドインソールが最適なことは言うまでもありません。

 

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