【安全靴】足の裏・指が痛い 原因と対策

安全靴を履いて仕事をされている人の多くが足の裏や指に痛みや痺れを感じています。

安全靴

仕事で履くのですから、安全靴で過ごす時間は相当長く、何とかしたいからと100均のインソールやパッドなどを使ってみたものの、効果はいまひとつで悩んでいる人も多いと思います。

安全靴を履いて生じる足と足指の痛みや爪のトラブル、症状と場所から原因を特定すれば、すぐできる簡単な対策で解消、大きく改善することができます。

ここでは、「立ち仕事で履く安全靴、セーフティシューズ」を中心に説明します(建築現場などでの高所用安全靴を除きます)。

 

安全靴を履いていると足の裏や指が痛い、痺れる理由

安全靴を履いてることで足が痛くなる一番の理由は「安全靴は足を守るための靴」であることにあります。

一般的なスニーカーや革靴と比べ、アッパーは丈夫で固い素材が使われていてることが多く、つま先には足を守るために「先芯」が入っています。

靴の中で足が当たる、擦れる、圧迫を受けるなど、安全靴ならではの作りや構造から、痛みや痺れを感じてしまう可能性が大いにあるのです。

安全靴が足に合っていない

支給品または指定の安全靴を何となくのサイズを選んでいたり、痛みや冷えの対策として大きいサイズを履いているなどのケースです。

中には「安全靴は大き目のサイズを履くものだ」と言われた人もいるかも知れませんが、それはかなり昔の話。安全靴も普段のスニーカーサイズで足に合ったものを履く必要があります。

安全靴に限らず、サイズやワイズ、足の形などに合わない靴を履いていると、気付かない間に疲労が溜まる、足や指が痛くなる原因になります。

先芯があって硬い、安全靴の特殊な構造はフィット感が得られにくいのですが「こんなもの…」と履き続けるのではなく、十分に試し履きてをして選びたいものです。

仕事の足元・床面が原因かも

安全靴を履く仕事として代表的な工場や作業所、建築現場、宅配・運送業など、安全靴を履く仕事の足元は、硬いコンクリート床やアスファルト、または不安定で足場の悪い場所がほとんどです。機械系であればオイルなどで滑ることも多いでしょう。

地面が硬い場所や不安定な状態での作業や歩行を、クッション性が少なく重い安全靴で、しかもかなりの長時間。足には大きな負担がかかり、足や指が悲鳴を上げてしまって当然です。

疲労だけでなく、足裏の筋肉や靭帯への負担も大きく、足の裏や指の痛みの原因になっている可能性が多々あります。

安全靴の履き方が原因かも

工場や作業所で安全靴を履いている人の多くが、ズボッと足を入れる、靴紐またはマジックテープ(ベルクロ)を締めず、普段のスニーカーなどと似たルーズな履き方、特に足や足指のトラブルに悩む人の大半はこんな履き方をしているはずです。

あまり多くは歩かない立ち仕事や作業においては、安全靴をスリッパのように履いていたとしても、足先が守られないという事ではないので問題は無いようにも思えますが、僅かな動きや移動の数歩の際に靴の中で足が滑る、ズレてしまうために靴と擦れる、靴の先や先芯に足指や甲が当たるなどで痛みや痺れを感じます。

また、滑らないようにと足と足指は無意識にふんばり続けている状態。足の指が上手く使えていないので身体バランスが悪くなるため、バランスを保つために無意識に足は踏ん張り、膝や腰にも負担が及び…

逆に、鳶職さんほか、足場の不安定な建築現場の作業員さんや一日中歩く配達業の方々は、毎日靴紐をしっかり締めて履いている人がほとんどです。建築現場で履く高所用安全靴は、不安定な足場でもしっかりと踏められる薄く柔らかい靴底、ズボンの裾が邪魔にならないように靴の中に入れるため中・長上靴(ハイカット)を履くので、毎回靴紐を大きく緩めずには脱げない、そのまま履くこと出来ないのでしっかり締める。仮に締めがやや緩くてもハイカットなので滑ったりズレたりしにくいという面も。一日中歩く配達業の方々の場合は、靴紐を締めずにルーズに履くと疲れることを身をもって知っています。このようなことから、安全靴に悩む人は少ないようです。

姿勢や癖も影響

手元を見る、屈む、物を運ぶなどの作業の際には、どうしても前荷重になりがちです。

足指の付け根あたりで体重の多くを支える姿勢を続けていると、足指の付け根あたりに痺れるような痛み(中足骨骨頭痛)を感じるようになります。また、体重の増加や加齢による衰えと同じように、足裏の5本の指をつなぐ腱が緩んでしまい、前足が平たくなり、前足の幅が広がって行きます。

前足の幅が広くなると同時に、指の付け根が突き出すようになり外反母趾や内反小趾へと進行して痛みの原因となるばかりか、べったりと広がった足は身体の左右バランスがとりにくく、足指や土踏まずに必要以上に力を込めてしまうため、屈み指(ハンマートゥ)や足底筋膜炎になる可能性も。

また、仕事の内容によっては、長時間に及んで同じ姿勢でいることも多いでしょう。左右どちらかの利き手、利き足ばかりで、または何らかの癖など、身体の捻じれや片側の足で踏ん張るような偏った姿勢も身体のバランスを崩してしまう要因になります。

安価な安全靴、履き込んだ安全靴は…

昔は「安全靴の寿命は1ヶ月1,000円、3,000円の安全靴は長くもって3ヶ月…」などと言われていました。昨今では比較的安価であっても良い造りの安全靴もあるでしょうし、コスパは無視できません。支給された、または指定された靴であれば仕方ない面はあります。

例えば靴底は滑りにくい、硬い床面での作業ならある程度のクッション性を感じられる、歩くことが多いのなら少し軽いだけでも随分感じが違います。

長年履き続けていると確実に靴底はすり減ります。片減りして床に置くと傾いている、足指の付け根あたりがすり減っている、滑り止めのブロック(溝)がほとんど無いか角が丸くなっている、油汚れなどで靴紐を締めるどころか触るのもイヤ…ある程度高価な安全靴であっても一生ものではありません。

性能の違い、劣化の度合いなどが足や指の痛みにどの程度影響するのかについては、個々に異なるでしょうけれど、摩耗や劣化は確実に影響しています。

今履いている、悩みの安全靴。買い替え時ではありませんか?

安全靴が痛い・痺れる 場所と対策

具体的に足、または足の指のどこが痛い、痺れるのかによって原因は異なります。

安全靴を履くことで感じる代表的な痛みなどの症状とその原因、そして、原因毎の対策を簡略に列挙してみました。

実際には複合していることも多く「安全靴だから」ではない場合もありますが、先ずは以下の原因と対策を試してみてはいかがでしょうか?

足の指の痛み・痺れ・トラブル

親指が当たる、痺れる

原因:①安全靴の中で足が前ずれして、親指が靴の先や先芯に当たっている。
②サイズが小さい。
③足形と靴のトゥの形状が合っていない
対策:①靴紐・マジックテープをしっかり締めて、靴中で足が動かないようにする。
②③1~2サイズ大き目、幅広ワイズ、足先の形状が広い、など足に合う安全靴に買い替え

薬指が痛い

原因:①安全靴の中で足が前ずれして、薬指が靴の先や先芯に当たっている。
②前ずれまたはサイズが大きすぎるために靴底を掴むような動きをしている。
③サイズが小さい。
対策:①靴紐・マジックテープをしっかり締めて、靴中で足が動かないようにする。
②甲側の第2関節が擦れて黒ずんでいるはず。「屈み指(ハンマートゥ)原因と治し方」参照
③足を測って正しいサイズ、ワイズなど足に合う安全靴に買い替え

小指が痛い、痺れる

原因:①安全靴の中で足が前ずれして、小指が靴の側面や上面と擦れている、または先がつっかえている。
②ワイズが小さい。
③歩き方の癖
④足元が滑るなど踏ん張りすぎ
対策:①靴紐・マジックテープをしっかり締めて、靴中で足が動かないようにする。
②痺れも伴う感じなら1~2サイズ大き目、幅広ワイズ、足先の形状が広い、など足に合う安全靴に買い替え
③つま先から突っ込むような、またはペタペタ歩きから踵着地の歩き方に変える
④靴底の油分などを清掃、永く履いた安全靴なら買い換え

足の裏の痛み・痺れ・トラブル

中指の付け根あたりが痛い、痺れる

原因:①前荷重気味な姿勢から前足部に負荷が掛かりすぎている。
②靴底のクッションが足りない
③足裏の腱の衰え(開張足)
④疾患(モートン病)の可能性
対策:①中足骨骨頭痛。踵寄りの荷重を心掛ける、インソール(中敷)で改善
インソール(中敷)で改善
③「開張足 下腿や足の疲れの原因⁈」参照
④「モートン病 足がピリピリ痛い」参照

土踏まずが痛い

原因:①足に靴が合っていない、足が前ずれしている
②立ち仕事に慣れていない
③床面が硬い
④体重の増加・加齢・運動不足など足裏の筋力の低下
⑤何らか足のトラブルを抱えている
対策:①サイズ・ワイズを計測して足に合う安全靴に買い替える、大きい場合はインソール(中敷)で改善
②筋肉と腱の疲労過多。入浴・ストレッチなどが有効
③衝撃を和らげるインソール(中敷)で改善
④「扁平足が引き起こす身体の不調」参照
⑤朝の起床直後や、歩き始めにかかと付近が痛いなら「足底筋膜炎」を参照、他に開張足外反母趾内反小趾扁平足などが原因かも

魚の目・タコ

原因:①足に靴が合っていない、靴の中で足が動いている
②何らかを庇う、癖、同じ動作の繰り返しなどで身体バランスが崩れている
対策:①靴紐・マジックテープをしっかり締めて、靴中で足が動かないようにする。
ウオノメ(魚の目)を解消」「タコ(胼胝腫)厚く硬い角質を解消」を参照
②無理なく自然に立てるようインソール(中敷)で改善

その他の痛み・トラブル

足の甲が痛い

原因:①甲プロテクター付の安全靴
甲高・ハイアーチの可能性
③痛風・偽痛風の可能性
対策:①職務上やむを得ないのであれば諦めるしかないかも。
②履き口が広目でマジックテープ(ベルクロ)の安全靴が比較的合いやすい。土踏まずが高いのでインソール(中敷)での下支えも有効
③ジンジンと痺れる、ピリピリと神経性の強い痛みなら痛風。早目に内科医へ

靴擦れ

原因:①足に靴が合っていない、靴の中で足が動いている
対策:①靴紐・マジックテープをしっかり締めて、靴中で足が動かないようにする。足に合う安全靴に買い替え

扁平足

原因:①筋肉量の低下、腱のゆるみ、体重増加よる負荷の増大
対策:①安全靴が問題なのはありません。「扁平足が引き起こす身体の不調」参照

踵・指・裏の角質

原因:①足に靴が合っていない、靴の中で足が動いている
②乾燥
対策:①靴紐・マジックテープをしっかり締めて、靴中で足が動かないようにする。

親指の爪が痛い

原因:①巻き爪
対策:①安全靴が問題なのはありません。「巻き爪は女性30.3%の悩み」参照

爪の変形

原因:①トゥの形状、先芯などが指先と爪を圧迫
②爪の先が下向きに丸まっている場合は前滑り
③白濁・分厚いのは肥厚爪
④巻き爪
対策:①指先が広い形状、1サイズ大き目など足に合う安全靴に買い替え
②指先が靴の先へ突っ込まないよう靴紐・マジックテープをしっかり締める
③安全靴が問題なのはありません。「肥厚爪 ぶ厚い足爪の悩み…」参照
④安全靴が問題なのはありません。「巻き爪は女性30.3%の悩み」参照

爪が割れる

原因:①つま先を上げる動作の際に先芯が当たっている
対策:①かなり厚手の靴下を着用する。足先の甲側にパッドを挿入するなどの工夫も有効

 

【まとめ】安全靴での痛みや痺れは、履き方とインソール(中敷)で解消できる。

安全靴を履くことで感じてしまう痛みや痺れ。それらの原因をまとめると

  1. 靴紐またはマジックテープ(ベルクロ)を締めずに履いている
  2. サイズ(足長)・ワイズ(足囲)・トゥの形状が足に合っていない
  3. 前屈み気味など姿勢の偏りが足裏の筋や腱を痛めつける

の3点に集約できます。

1. 足に合う安全靴に買い替える

自身の靴のサイズやワイズを正確に計測してもらったことはありますか?安全靴は大き目を履いていませんか?

特殊な安全靴といえども靴です。サイズ(足長)が合っていない、ワイズ(足囲)が合っていないのでは、靴の中で足が動く、無意識に踏ん張るなど、足や身体に負担がかかるのは当然です。

自身で測ることも出来なくはありませんが、真っすぐに立った姿勢で測らなければならず、不正確になりがち。大抵の靴屋では無料で、時間にして5分もかからずに計測してくれるはずですので、一度正確に測ってもらいましょう。

また、買い替える際には試し履きは必須。先芯が入っていて、アッパー素材が硬い安全靴です。増してや靴はメーカーやモデルでサイズ、履き感にバラツキがあり要注意、少なくても15分位は履き試したいものです。

2. 靴紐をしっかり締めて履くことが最重要

いくら足に合った安全靴でも、靴紐をしっかり締めて履かなければ、靴の中で足は前後左右にズルズルと滑ってしまいます。靴の先へ足指が突っ込んでしまって、足と指や爪にトラブルがおこるのも当然です。

靴紐を締める、いくらかかっても2分もあれば十分です。僅かな時間と手間で痛みや痺れから解放されるのですから、やらない手は無いでしょう。

コツは安全靴を脱ぐ時に大げさに靴紐を緩める、履く時には、足を入れたらつま先を上げて踵をしっかり合わせ、つま先からしっかり締めてゆく。締めすぎと感じる位が最適(立つ、歩くと土踏まずが潰れるので)。早速明日から試しましょう。

靴紐を毎回締めるのが面倒なら、次回はマジックテープ(ベルクロテープ)の安全靴にする、または、やや高額にはなりますが、ダイヤルでワイヤーの締緩ができるBOAクロージャーシステムを採用した安全靴がアシックスやミズノなどから商品化されています。

3. 身体の土台、足をインソールで支える

足指の付け根付近ほか、足の裏に感じる痛みや痺れは、安全靴が足に合っていないだけではなく、足裏の筋肉や腱が傷んでいる、衰えていることが原因で、足に疾患が生じている場合が多く見受けられます。

こういった場合には、それぞれの症状や状況に応じたインソール、整形外科で作成する足底板、または当店のような専門店でのオーダーメイドインソールを安全靴に入れることで、痛みや痺れを改善することができます。

安全靴での当たる、擦れる、魚の目やタコを何とかしたいからと、足が動かないようにフィット感を上げる目的で厚みのあるインソール(中敷)を敷くと、期待に反して大抵先芯が当たってしまいます。

これらのトラブルは市販のインソール(中敷)で解決することは出来ませんが、足底板やオーダーメイドインソールであれば、足の裏の凹凸に一致するように加工しますので、結果的に安全靴での当たる、擦れる、魚の目やタコも改善されます。

 

お気軽に来店ください。

安全靴を取り扱っている靴屋なんて、日本中に何軒かあるか…。商品知識が豊富な店員のアドバイスを受けられない、自らフィッティングする以外に無いことも、大き目だったり、ルーズに履いてしまう原因でもあり、安全靴って本当に悩ましい履物ですね。

残念ながら当店も安全靴の取り扱いはありません(大阪梅田本店・四天王寺店のみ取り扱い)が、安全靴についてのご相談、オーダーメイドインソールのご注文はかなり多く、お悩み改善のお役に立てると思います。

靴サイズと現状の足の疾患・状況の測定と診断、ご相談は無料です。

その安全靴の、何がどうだから、どうすれば悩みを改善・解消できるのか。今お履きの安全靴をお持ちになって、お気軽にご来店ください。

2023年3月20日をもって閉店いたしました。