【種子骨炎】足裏の親指の付け根が痛い
足の親指(母趾)の付け根の裏側が痛い。
歩いたり走ったりすると、ヒール靴や革靴を履くと痛い。つま先立ちやしゃがむ姿勢をすると、親指を手で反らすと…
その痛みは、足裏の母趾の付け根にある種子骨、またはその周辺の組織が炎症を起こしている、「種子骨炎」または「種子骨障害」という疾患です。
母趾種子骨炎・種子骨障害
親指(母趾)の付け根の足の裏側には、2つ並んだ種子骨という小豆大の軟骨があります。
種子骨は土踏まずを形成する筋腱と、足の親指を曲げる筋腱群の中にあります。膝のお皿のように関節をスムースに動かす、負荷に対するクッションなどの役割を果たしています。
足の裏の、母趾の付け根に極端な、あるいは繰り返し負荷がかかる状態が続くと、種子骨、またはその周辺組織が炎症を起こします。この炎症を「母趾種子骨炎(ぼししゅしこつえん)」と呼びます。
さらに、種子骨が割れる、骨折する、壊死するなどの状態になることもあり、これらを総じて「種子骨障害(しゅしこつしょうがい)」と呼びます。
種子骨障害は小中学生の年代で多く発症し、思春期を過ぎると減少する傾向があります。
ただ、外反母趾など足形の変形やハイアーチなどの身体的特徴、あるいは、ヒール靴の常用などの外的要因から慢性化する人も少なくありません。
種子骨炎・種子骨障害になる原因
足の裏の、母趾の付け根への負荷がかかる状態は「負荷の高い動き」、「身体的な特徴」、「日常の習慣・行動」に大別できます。
原因①:負荷の高い動き
母指球への強い衝撃を頻繁に繰り返す、陸上競技やサッカーなどのよく走るスポーツ、強く踏み込むことの多い格闘技などで多く発症します。
種子骨は母趾の付け根の関節の下に付着しています。僅かに出っ張っている状態です。
単純に打ち付けるような動作で種子骨と周囲の組織を損傷、炎症を起こします。
このため、種子骨炎・種子骨障害はスポーツ障害として位置づけられます。
また、小学高学年から中学生に多く発症するのは、急峻な身体能力の向上が負荷を高めていること、用具や知識が脆弱であること、足の骨格が形成途中であることなどによります。
原因②:身体的な特徴
扁平足、または真逆のハイアーチ、踵の外反または内反。または、これらが原因での外反母趾などの足形の変形。
これらは足の骨格構造の乱れや足裏のアーチ構造の崩れが原因です。
扁平足や踵の外反は足底筋腱群(土踏まず)が弱く、伸びている状態です。足の機能が落ちているため、無意識に足裏の筋腱を使って足を安定させようとします。
逆に、ハイアーチや踵の内反は、足底筋腱群が強い状態です。
いずれも立つ、歩くと言った動作の最中には、足底筋腱群が過剰に種子骨を引っ張り続けるため、炎症を起こし易い状態です。
原因③:日常の習慣
立ち仕事や、毎日の歩行など、たとえ少ない負荷であっても長時間、毎日の繰り返しとなると、足底筋腱群(土踏まず)はひどく疲れます。
実際に1日立ち仕事をすると、土踏まずが下がり扁平足気味になります。(種子骨炎との関係は「原因②:身体的な特徴」参照)
また、靴が種子骨炎を起こしやすい、慢性化し易い状態にしてしまうこともあります。
足に合っていない靴や、靴紐などで甲を押さえることの出来ない靴。これらは、靴がしっかり踏ん張ってくれません。無意識に足で踏ん張ってしまうため、足底筋腱群が疲れやすい状態に。
靴底のクッション性の乏しい紳士靴やパンプス、特に先立ちに似た状態が続くヒール靴の場合は、歩行時に種子骨を打ち付けてしまいます。
さらに、足首の動きの少ないヒール靴は、ふくらはぎの筋肉が常に緊張状態。緊張したふくらはぎの筋肉群が踵を強く引っ張ります。そして、踵は足底筋腱群を強く引っ張ります。
種子骨を打ち付ける、足底筋腱群の疲れ、または緊張が過剰に種子骨を引っ張り続ける。
日常の習慣が種子骨炎を起こし易い状態にし、慢性化させてしまいます。
種子骨炎の痛みを改善する方法
痛みは炎症ですから、安静にすることが重要です。
痛みが引かない内に「原因①:負荷の高い動き」や「原因③:日常の習慣」を続けると、症状が悪化してしまう可能性が大いにあります。
基本は足裏の親指の付け根を反らさない歩き方。蹴り出さず、小股のペタペタ歩きといった感じで歩くように心掛けると良いでしょう。
また、ふくらはぎの硬直と足首の硬さは足底筋腱群へ負担を強いります。ストレッチで負担を減らしてやるのも有効です。
インソールと靴の見直しが有効
必要以上に踏ん張らずに歩ける足に合った靴を履くことも重要です。
そして、靴紐などをしっかり締め、靴の中で足が動かないようにします。無駄な踏ん張りが無くなり、足底筋腱群(土踏まず)の疲れが軽減。結果として種子骨への負荷が減ります。
また、種子骨障害にはオーダーメイドインソールの使用が有効です。
扁平足やハイアーチ、踵の外反など足の骨格構造の崩れを補うことができるのは、オーダーメイドインソールならでは。靴の中での無駄な踏ん張りによる足底筋腱群の疲労、ふくらはぎの硬直を軽減できます。
さらに、土踏まずなどの下支えが足裏の荷重が分散するため、母指球への負荷が軽減。クッション性の高さが打ち付けによる負担を減らすことも合わせ、種子骨炎の原因を大きく改善できます。