ウォーキングに適した靴
年齢や季節を問わず、施設やコース、時間や用具の制約も無く、いつでも、誰でも、気軽に始められる「ウォーキング」。
気楽な散歩、健康維持、運動不足の解消やダイエットなど、何らか目的をもって歩くウォーキングは、歩く速度、距離や時間など、それぞれの目的次第で異なってきます。
そして、ウォーキングに必要な唯一の道具である「靴」は、それぞれの目的に応じて適した靴、適さない靴があるのです。
間違った靴を履いてのウォーキングは、逆効果になってしまう可能性も…
ウォーキングに適した靴
どんな目的でウォーキングを始めるのであれ、歩くのに適した靴、歩きやすい靴を選ぶことが重要なのは言うまでもありません。
ウォーキングシューズが最適?
ランニングシューズやスニーカーではダメなの?
そんな声が聞こえてきそうです。
結論だけ先に言うと、身体的な能力やウォーキングの目的、歩く速さ・時間・距離などによって適した靴は異なります。
人によってはウォーキングシューズが、別の人にとってはランニングシューズが適していることもあるのです。
先ずは、ウォーキングシューズとはどんな靴なのか。そして、ウォーキングシューズは、ランニングシューズ、スニーカーと何がどう違うのか。
どんな人に、どんな靴が最適なのか。それらを順に見て行きましょう。
ウォーキングシューズの特徴
ウォーキングシューズとは、そのネーミングの通り歩くための靴です。
身体への負担を少なくするための様々な機能が備わっていて、長時間、あるいは長距離を楽に歩ける。
ウォーキングと限らず、通勤や通学、ショッピング、旅行など、日常の歩行にももちろん適しています。
踏み出す一歩毎に安定
ウォーキングシューズの最大の特徴は、一歩毎が安定しているということ。
靴底は必要以上に柔らか過ぎない。靴底の接地面積は大きく、滑り難い。
しっかりと作られた踵と、足を包むアッパーが足と足首のブレを抑えるため、身体が安定した状態を保てます。
自身で踏ん張らずとも、靴が踏ん張ってくれるのです。
無理なく荷重移動できる
歩くとは、踵から着地して、つま先で蹴り返すという動きの繰り返しです。
荷重は踵→小指側中足部→足指の付け根→指先と、足裏を移動します。これを足裏のあおり運動と言います。
ウォーキングシューズの多くは、この足裏での荷重移動を導く構造になっています。
靴底の土踏まず部分は屈曲しない、そして、逆に足指の付け根の関節部分だけが屈曲しやすいという、足の動き補助する構造になっているのです。
結果として、足が自然に前へ出る。一生懸命に力を込めずに、一歩づつを楽に歩けるのです。
あおり運動は、実際には文字で書くほど明確ではありません。また、O脚など身体的な特徴、歩き方の癖などによって理想通りとは行きにくいものです。詳しくは「靴底の減り方で分かる!歩き方の癖と足のトラブル」参照
安価な大量生産品ではない
価格が比較的高価であることも、ウォーキングシューズの特徴と言えるでしょう。
しっかりと作られた踵、靴底の土踏まず部分は屈曲しない。それらの為に、見えない部分にも多くの様々なパーツが用いられています。
そのため、熟練工の手による製造工程が不可欠。それは製造原価に直結し、価格に反映されてしまいます。
また、靴底にすり減り難い素材を加える。アッパーの痛みやすい部分には補強する。あるいは皮革製の靴である。など、永く履けるような工夫がなされていることが多いこともウォーキングシューズの特徴と言えるでしょう。
ランニングシューズとの違い、適する人
歩行とランニングの違いは、両足が着地している時間があるかどうか、です。
片足、または両足とも地面から離れる瞬間のあるランニング。上下動が大きく、着地時には歩行と比べて2~3倍の負荷・衝撃が足にかかります。
ランニングシューズに求められる一番の機能は、この衝撃を緩衝すること。そして、軽量であることです。
また、足の回転を容易にするため、つま先が反り上がった形状であることもランニングシューズの特徴です。
それらをウォーキングシューズと比較すると
- 柔らかい靴底は、歩行時の足首や膝の安定性に欠ける。
- 薄いアッパーは足を守る機能が弱い。日常の靴としての耐久性にも欠ける。
- そり上がった靴底は接地面積が少なく、歩行・立位に於いて身体の安定性に欠ける。
ランニングシューズは走るための靴。
速く走るために求められる機能は、歩行の妨げとまでは言わずとも、歩くことに於いては、機能的にウォーキングシューズに劣るのは当然なのです。
ランニングシューズでのウォーキングが適する人
ただ、以下を満たす場合は、ウォーキングシューズよりランニングシューズを履く方が適しています。
- 普段からスポーツを行っていて身体能力が高い、筋肉量が多い、体重は標準程度以下の人が、
- ファストウォーキング、またはインターバルウォーキングをする場合
運動としての効率を上げるために「走るように歩く」を実践する場合は、足への衝撃吸収も重要ですし、足の回転性も重要になります。
そして、体幹が強い、接地時間が短い、推進力が強いなどから、一歩毎の安定性はそれほど重視する必要は無いのです。
但し、トップランナーの履く、速さを追求するようなランニングシューズは不向きです。いくら早歩きとは言えども、歩行という運動においては、中足部の強度が足りないことがあるためです。
また、メーカーの推奨するランニングシューズの寿命は400km程度とされています。
仮に時速7kmのファストウォーキング45分を毎日続けたとすると、僅か2ヶ月半ほどでシューズの寿命を迎えます。
実際の見た目にはそれほど痛んでいないようでも、ヘタったアウトソール、すり減った踵での積極的な運動は足または脚はもちろん、身体への悪影響が懸念されます。
ランニングシューズは耐久性に欠けます。歩行距離や時間を管理しながら履くようにしてください。
スニーカーはウォーキングに不適
スタンスミスやコンバースに代表されるスニーカーと呼ばれる靴。
靴のどこがどうなら、どのような靴をスニーカーと呼ぶのかについては、明確な定義はありません。一般的には、靴底が1枚のゴムで作られている、比較的安価な量産品の運動靴のことを指します。
様々なデザインやカラー、ブランドなどから好みの一足が選べる、ファッション性を重視した靴。言い換えると、クッション性や足首や脚の安定性などは特段考慮されていない、手頃な価格と見た目を重視した靴とも言えます。
足や脚が疲れやすいだけでなく、外反母趾や内反小趾などの足形の変形、扁平足、または開張足という足の骨格構造の乱れ、モートン病、中足骨骨頭痛などの足の痛み、巻き爪や屈み指など、あらゆる足のトラブルに繋がる可能性がとても高いと言えます。
スニーカーは長い時間、または長距離を歩く、ウォーキングには不向きな靴なのです。
もちろん、ファッションとしてスニーカーを履くことに問題はありません。
ただ、ウォーキングはもちろん、ショッピングや旅行など、たくさん歩く日はスニーカーを避け、しっかりと歩けるウォーキングシューズを履くことをお勧めします。
見た目も重要ですが、靴は目的、必要などに応じて履き分けたいものです。
どうしてもスニーカーでウォーキングをしたいなら
好きなブランドの気に入ったデザインのスニーカーでウォーキングを楽しみたい。
見た目に履きたいと思えるウォーキングシューズが無い…
そんな場合は、オーダーインソールを使用すると、上手く行けばスニーカーの弱点を補える可能性があります。
詳しくは「靴のシャンクが疲労を軽減」を参照ください。
ウォーキングシューズの選び方
足長(サイズ)、足囲・足幅(ワイズ)の合った靴を選ぶことは言うまでもありません。
また、足あたりや履き心地も重要です。そして踵のフィット感、くるぶしが当たらない。それらも当然確認するべきでしょう。
ただ、ウォーキングの靴に限ると、以下のようなポイントを考慮する必要もあります。
運動としてのウォーキングなのか、日常の歩行で履く靴なのか。
早歩きが出来るのか否か。
足や膝に痛みなどの障害があるか否か。
雨の日も履くのか。
ウォーキングシューズでないとダメという事ではありません。ただ、日頃の行動、身体的な特徴などと、これらを組み合わせて最適な靴を選ぶべきなのです。
靴は信頼できる靴屋で
それらの組み合わせは無限大。ひとり一人違います。なのでここで単純に表現することはできません。
また、靴のサイズ・ワイズは立位で測る必要があります。ですから、自分ひとりでは正確に測ることはできません。
ですので、「自身に最適なウォーキングシューズを自分で選ぶ。」そんなの、恐らく無理かと思います。
信頼できる靴屋に任せれば、いくつかの候補を提案してくれるはずです。
痛みや足形の変形にはインソール
足の裏や足指、膝が痛い。痛みを感じることがある。
足のサイズや幅が大きくなったように思う。
外反母趾ほか、足形の変形が見られる。
そんな場合は、靴だけでの対処には限界があります。
市販のインソールを試してみるのも良いでしょう。けれど「どんなインソールが適しているのか」または「自身に合うのか」。そんなアドバイスがある訳も無く、何となく選んでみたところで、期待するような効果が得られるはずもありません。
お気軽にご来店ください。
当店は「ウォーキングシューズ」と「オーダーメイドインソール」の専門店。
ひとり一人異なる様々な要素を考慮し、最適な一足を提案させていただきます。
また、痛みなどのトラブルがあるなら、効果的なオーダーメイドインソールも合わせて提案、ご検討いただけます。
ご相談だけのご来店でも大丈夫。お気軽にご来店ください。
2023年3月20日をもって閉店いたしました。